奈良原 ホタル飛び交う自然を守る

栃山天空ホタルの会で管理している棚田

八代町奈良原地区。周りを山に囲まれた地形は、多くの自然を育んできました。里山の風景はのどかで美しく、人をほっとさせます。この集落では、長い間、人と自然は共存してきました。しかし、時代の移り変わりとともに、失われていったものもありました。

数年前、この奈良原の貴重な自然を残そうと活動を始めた人たちがいます。地元の有志で作る「栃山天空ホタルの会」(会長:土屋寿男さん)の皆さんです。現在の会員は9名。無償でホタルの飛ぶ環境整備に取り組んでいます。

会長の土屋さん(左)とひろしさん

牛王神社近くの棚田には、昔からヘイケボタルが自然発生していました。しかし数年前、その数はそれほど多くありませんでした。集落の高齢化が進み、休耕田が増えて行くと、山里の生き物たちは住む場所を失っていったのです。生き延びたホタルたちを守るにはどうしたら良いのか。栃山天空ホタルの会では、棚田を生きた水田として管理することで、ホタルの生育環境を整えようと活動を続けています。

会員による周辺の草刈り

重機を使って土を起こす

泥の中での重労働

細かいところは手作業で

棚田の背後は、昔と変わらない栃山の雑木林に守られています。この環境が、ホタルを含む多くの生物の生態系を守ってきました。数年前、土屋さんがモリアオガエルの卵塊を見つけたのもこの場所です。この棚田では、ホタルの光と、モリアオガエルの独特の鳴き声を、同時に鑑賞することができるそうです。また、この場所からは、甲府盆地の夜景も見下ろすことができます。

「あそこに卵があるよ」と案内してくれた土屋さん

モリアオガエルの卵塊です。外側は少し乾いています

「背後の栃山の森が自然を守っている」と語る土屋さん

今年のホタルの見頃は、6月の20日~30日ぐらいになるのではないかと、土屋さんは予想しています。ただ、自然相手のことなので、予想通りにいかないこともあるのは御承知ください。ホタルの飛ぶ期間中は、棚田の前の道路は車両通行出来ません。臨時の駐車場が設けられますので、そちらに駐車して、歩いて散策してください。この場所は民家のある生活地域です。夜間は大きな音をたてず、ゴミなどはきちんと持ち帰り、近隣住民の迷惑にならないようにご注意ください。すぐ近くに、こんな素晴らしい自然がある事を知ると、本当に感動します。それを守っている人達に感謝しながら、今年も幻想的な光景を楽しみたいと思います。(取材:さっさ)

モリアオガエルの卵塊。まだ新しく表面はつややかです

モリアオガエル


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