桑戸五躰尊の会

2014年1月29日UP

春日居町桑戸には県の重要文化財に指定されている木造五大明王像を祀る不動堂があります。
こちらでは毎年1月28日に祭典を実施しています。

五大明王とは仏教の信仰の対象で、密教の尊格である明王のなかでも不動明王を中心とした、降三世明王、軍荼利明王、大威徳明王、金剛夜叉明王(※1)の五体のことを指す。

桑戸の五大明王像は一本の檜材を使用した所謂一木造りという工法で平安後期の作品といわれている。江戸時代には赤や青といった鮮やかな色彩が施されたが、昨今の修復作業の折、元来の美しい木の佇まいに甦った。

不動堂の縁起は地蔵院(※2)と関わりがあり、「藤原朝臣・茂手木七郎兵衛信定が母とともに平治の乱(1160)を逃れ都から、甲斐国桑戸村へ逃れてきた。一族の菩提を弔うための一庵・茂林庵(宝聚庵と合わさり後、地蔵院となる)を創建した。

天正14年(1586)桑戸の表鬼門に当たる場所であるこの地に不動堂を建立し、茂林庵に安置されていた五大明王を移した。それ以降、桑戸では災害より守り現世利益を得られる信仰の対象として明王が祀られている。」と記録されています。
桑戸の五大明王の配置から真言宗の寺院に安置されていたことが考えられます。

「不浄を清める」功徳を持つ烏枢沙摩明王を祀る曹洞宗の地蔵院であれば、五大明王のうち烏枢沙摩明王が配されるはずであるが金剛夜叉明王が祀られていることに理由する。そのため真言宗の寺院に祭られていたが子酉川(現在の笛吹川)の氾濫による水害などで寺を流失したが、五大明王像のみ遺されたため災害から村を守ると信じられ茂林庵に移されたのではないかとの説である。

そして現在の不動堂は享保3年(1719)に建立されたものという。
五大明王の配置は、前述のように不動明王を中心とし、降三世明王(東)、軍荼利明王(南)、大威徳明王(西)、金剛夜叉明王(北)と構える。
不動堂では不動明王を真中に横一列に並ぶ。

修復作業、東京国立博物館展示を終え、新しい保存施設が建てられ、現在は不動堂の裏で桑戸地区と住民を守っています。

桑戸五躰尊の会

平成24年、桑戸地区住民有志で発足。現在会員数62名。
五大明王を中心に桑戸を中心とした春日居町に関する歴史学習やボランティアガイドの養成講座、環境整備など幅広く地域活性化事業を展開している。

平成25年度は、4月地区住民による文化芸術作品を20部門113作品が集められたギャラリー展を開催、4月と9月五躰尊を囲む花壇に曼珠沙華(彼岸花)の植栽を実施、10月歴史学習会・ボランティアガイド養成講座、11月境内を囲む縁日さながら音楽イベント・ミュージックフェスタを開催。そのほか日本の仏像研究の第一人者である山本勉氏(東京国立博物館名誉館員)や11月山梨の昔語りで有名な藤巻愛子さんを招き春日居に伝わる『おでにっちゃん』や『笛吹権三郎』ほか講演会を実施。

◇活動のお知らせ◇

第2回五大堂ギャラリー作品展

地区内外で趣味や創作活動をする方々の作品が“一堂"に会します。

開催日時:平成26年2月22日(土)および23日(日)午前9時30分~午後3時
会 場 :第1会場 五大堂(桑戸不動堂)…【22日のみ開催】
     第2会場 桑戸公民館………………【両日開催】

入場無料

修復作業を終え木造五大明王像が帰ってきた過去のレポート ※1五大明王の概略

不動明王(ふどうみょうおう)・・・梵語名アチャラナータ(訳:「動かない」)。
大日如来の化身として、宗派を問わず日本の仏教において信仰されている。

金剛夜叉明王(こんごうやしゃみょうおう)・・・北方を司る。梵語名ヴァジュラヤクシュ、「様々な悪を金剛杵で打ち砕く夜叉」という意味。
三面六臂(三つの顔、六本の腕を持つ)、 中央の顔のみ五つ目。

降三世明王(こうざんぜみょうおう)・・・東方を司る。梵語名トライローキャヴィジャヤ、 「三千世界を支配したシヴァ神を倒したもの」という意味を持つ。
四面八臂(四つの顔、八本腕を持ち、正面のみ三つ目。)その名の通り、足元にはシヴァとその妃を踏みつけている。

軍荼利明王(ぐんだりみょうおう)・・・南方を司る。梵語名クンダリン(訳:「とぐろをまく」)に由来し、体中に蛇が巻き付いている。
一面三目八臂(三つの眼、八本の腕を持つ。)、蓮の華の上に立つ。

大威徳明王(だいいとくみょうおう)・・・西方を司る。梵語名ヤマーンタカ、『死神ヤマ(閻魔)を倒すもの』という意味を持つ。
六面六臂六脚(六つの顔、六本の腕と六本の足を持つ。)水牛に跨っている。
五大明王の配置・・・真言宗に伝承される密教(東密)の配置。しかし天台宗に伝承される密教(台密)では金剛夜叉明王ではなく烏枢沙摩明王(うすまさ)を配する。

※2地蔵院・・・曹洞宗の寺院、山号は甲陽山。明治18年(1885)には新撰組隊士・立川主税が第23代目住職(法名・独龍巨海)を努めた。寺宝には木造十一面観世音菩薩立像(笛吹市指定文化財)がある。

塑像不動明王像(笛吹市指定文化財)
五躰尊とは別に不動堂に祀られている。

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