“マクロビオティックス・バランシングツアー”

現在、観光庁の推進する「官民協働した観光地再建・強化事業」として、笛吹市において「マクロビオティックス」を活用した地域振興策の実施が進められています。

7月より官民連携しマクロビオティックスの料理教室やメニューづくりが展開されていましたが、12月には一般の参加者を対象としたモニタツアーが行われました。実施期間は2013年12月8日(日)~9日(月)の1泊2日。美と健康をテーマにした『山梨・石和温泉んできれいになるマクロビオティック・バランシングツアー』には、県内外からおよそ30名が参加され、美と健康にちなんだスポットをめぐり、またマクロビオティックスを取り入れた食事を楽しみました。

今後、石和温泉にマクロビオティックスの導入が進み、全国的に認知が広がれば、これまでとは異なる層の観光客が石和温泉に足を運ぶきっかけとなり、地域経済の活性につながります。またこれまでの閑散期においても旅館やホテルの稼働率減少が縮小するなどのプラスの効果が期待できます。観光地再建の一つの足掛かりとなる「マクロビオティックス」の地域導入。今回はその可能性を探るため、モニタツアーに同行取材しました。

そもそもマクロビオティックスとは何なのか。英語表記は「Macrobiotics」。Macro「偉大なる」、Bio「生命」、Tic「方法、術」の複合語で、古代ギリシャ語「マクロビオス」に由来しており「健康による長寿」「偉大な生命」などといった意味があります。食事のあり方の思想であり、食事法と理解できます。特徴は、玄米を主食、野菜や漬物や乾物などを副食とすることを基本とし、独自の陰陽論を元に食材や調理法のバランスを考える食事法であるという点。身土不二(居住地の自然環境に適合している主産物を主食に、副産物を副食にすることで心身もまた環境に調和する。)、一物全体(一つの食品を丸ごと食べることで陰陽のバランスが保たれる。)という考え方などが、代表的なものとしてあげられます。

アメリカやヨーロッパでは、健康志向や美容意識の高い俳優、女優、モデル、スポーツ選手、政治家などのセレブリティの間でマクロビオティックス実践者が増えたことで、一般認知が拡大しました。
近年日本でも、美や健康に意識の高い女性や男性の間で、マクロビオティックスが普及しており、関連市場も広がりを見せています。

今回のモニタツアーでは“美と健康と癒しの郷”というテーマにもとづき、温泉やクアハウス、ノルティックウォーキング等の健康プログラムの導入や、マクロビオティックスを取り入れた料理の提供など、心も身体も綺麗になることを目指したツアー構成になっています。

〝美と健康と癒しの郷を目指して…″
『山梨・石和温泉んできれいになる マクロビオティックス・バランシングツアー2日間』
(パンフレットはコチラ

《ツアー行程》

1日目:本坊酒造・マルスワイナリー見学→昼食(マクロビオティックス弁当)→マクロビオティックス料理教室→畑で季節野菜の収穫体験→夕食(マクロビオティックス懐石)→ワイン、音楽、夜景など

2日目:朝食(ホテルでマクロビオティックス朝食)→ノルディックウォーキング→クアハウスで岩盤浴・ストレッチ→ハーブ庭園散歩→昼食(マクロビオティックスレストラン ランチプレート)→ストーンエッグ英雅堂見学

今回のモニタツアー参加者は、全員女性。県内外から約30名ほどの参加でした。
参加動機は「旅行代理店で知って、テーマがあって面白そうだと思った」、「県内出身だけど石和のことはよく知らないのでこの機会に学びたい」、「マクロビオティックスを始めたばかりだったのでツアーに興味をもった」等々。 全体的にマクロビオティックスに関心がある方が多い印象でした。またワインに詳しい方が多く、食事にワインを持ち込む方も多かったです。(石和温泉ではBYO:BringYourOwnキャンペーン中で旅館やホテルのお食事にワインの持込みが可能)飲みながら感想を言い合う光景が見られました。

《1日目》

マルスワイナリーに到着

瓶詰の工程など見学

地下のゲストルームでランチ

マクロビオティックス弁当

昼食に提供されたマクロビオティックス弁当は市内の事業者Non-Credoさんのもの。
内容は、クルミ入り玄米ご飯、サツマイモのあえもの、車麩のフライ、こんにゃく、甘酒と豆乳寒天のスイーツなど。お弁当は、ヘルシーさだけでなく味付けも良かったと好評で「レシピを教えて欲しい」といった声も聞かれました。

昼食を食べ終わったら、一宮町のいちのみや桃の里文化館にてマクロビオティックス料理教室です。今回は参加者全員でクッキーを作ります。
もちろん、マクロビオティックのクッキーなので牛乳、卵、バターは一切使いません。

薄力粉、メープルシュガー、メープルシロップ、塩、菜種油のみ。
アレンジできな粉やココア、紫芋パウダー、ジャムなどを追加すれば数種類クッキーができます。

料理教室の詳細は、こちらのページで。

マクロビオティックス料理教室の様子

クッキーとお茶でほっとひと息ついたところで料理教室をあとにし、市内のホテル「ホテルうかい」の菜園へ向かいます。
ホテルうかいの裏に広がる菜園では季節に合わせた野菜を栽培しており、宿泊客の食事に採れたて野菜が提供されています。
夕食のマクロビオティックス懐石もホテルうかいでの食事となります。
白かぶや赤カブ、白大根に赤大根、複数の種類があり、参加者は畑の中に入って思い思いの葉っぱを掴んで収穫を体験しました。

ホテルうかいの菜園で収穫体験

大根やカブなど数種類を収穫

畑作業が初めてという方も多く、収穫体験は大好評でした。収穫体験の後は、各自宿泊ホテルにチェックインし、夜にはお楽しみのマクロビオティックス懐石となります。この日の宿泊ホテルは石和温泉のホテル八田とホテル古柏園です。

チェックインが終わった一行は、再びホテルうかいに集合し、夕食のマクロビオティックス懐石がスタート。
まずは山梨産のワインを使った食前酒〝石和パンチ″で乾杯。参加者は、昼にワイナリーで購入したワインを持込み、ワインの品評も始まりました。

モデルの室谷さんも石和パンチで乾杯

BYOで持込みワインを楽しみます

自家菜園の新鮮野菜バイキング

自家栽培しいたけが原木のまま並びます

しいたけはハサミでカットしその場で七輪焼き

柿やカブなど旬の素材メインの前菜盛り合わせ

前菜には、柿を揚げたもの、カブのグリル豆乳ソース、おもいのほかのジュレ、干し柿&シーズ、ごぼう味噌など旬の野菜を中心としたものが数種。シーズ(Sheese)とは 植物性100%ソイチーズのことで、いわゆる乳製品のチーズのような食感。これが甘い干し柿と見事にマッチしていて「美味しい」と驚きの声も上がっていました。また柿の揚げ物は、初めて食べたという声も多く、期待を超える美味しさだったと大変好評でした。東南アジアでよくあるバナナの揚げ物にも似ていますが、バナナとは違った柿ならではのトロっとした食感がクセなります。前菜には肉や魚、乳製品は一切使われていませんが、量、質ともに十分満足できる内容で、一口食べるごとに嬉しい驚きや発見のある、見事な前菜に仕上がっていました。

赤カブと白カブをつかった紅白スープ

女子力アップ!フラワーサラダ 3種ドレッシングで

大好評のドレッシング。黒豆ペーストなど3種

ひよこ豆のコロッケはその場で揚げる

自家菜園の新鮮野菜鍋も

サラダにかけるドレッシングももちろんマクロビオティックス仕立て。黒豆やひよこ豆のペーストをベースに、味を足しています。乳製品の使用はもちろんゼロ。サラダ油も使いません。
ドレッシングのレシピを聞く人や、持ち帰りを希望する人などもいて、大変人気となりました。

この他、ひと口ちらしずしや笛吹市産桃のシャーベットも好評でした。 〆は玄米ご飯と味噌汁に千枚漬け。デザートには笛吹市産の柿とローズヒップゼリー。

最後のデザート。柿はそのままいただきます

最後に、料理を担当されたホテルうかいの小林社長と、メニュー監修された細貝先生がご挨拶。

お料理を担当されたお二人に感謝の声が

「期待を上回るコース内容だった」、「こんなに食べてもカロリーが気にならないので嬉しい」、「このお料理を作る料理教室も盛り込んでほしい」など参加者からの感想や要望が聞こえます。

美味しく期待以上だった、石和にもっとマクロビオティックス料理を広めてほしい、といった肯定的な意見が多く、ホテルうかい初の試みであるマクロビオティックス懐石は、参加者に好評をもって受け入れられたようです。

お腹いっぱいになったところで、各自宿泊ホテルに戻り、夜はホテルで開催される山梨ワインと音楽を楽しむイベントや、新日本3大夜景の一つ「笛吹川フルーツ公園」の夜景を楽しみ、1日目は終了となりました。

《2日目》

朝食はホテル八田とホテル古柏園でのマクロビオティックス朝食バイキング。玄米ご飯のおかゆや、野菜、納豆、フルーツなどが中心の朝食となりました。

朝食をとったら、石和温泉足湯広場まで徒歩で移動し、ノルディックウォーキングです。

ポールの使い方、歩き方などを練習

歌にあわせて準備運動

ポールを使うことで膝の負担が軽減されます

石和温泉の遊歩道を列になって歩く参加者

朝から運動すると体の目覚めも良いようで、皆さん清々しい顔でした。
富士河口湖町の方では盛んなノルディックウォーキング。今度石和温泉で定着することになるかも知れません。
参加者はこの後、岩盤浴やストレッチでデトックスし、ハーブ庭園を散歩してクールダウンしてから、一宮町にあるマクロビオティックスレストラン「農カフェhakari」で昼食をとります。

農カフェhakariは、大北農園が経営するレストラン。古い民家を活かした趣のある建物と、畑に囲まれたロケーションは、訪れる人の目を楽しませてくれます。

古い民家を改装したお洒落な建物

入口には干し柿が並んでいて季節を感じます

併設のショップではオーガニック製品や加工品販売も

ボリューム満点のランチプレート

畑を眺められるテラス席も(暖房中)

ランチプレートでは、優しい味の白菜のスープやバゲットにのっていた里芋のペーストなどが好評でした。
もちろんマクロビオティックスならではの車麩のフライもボリューム満点で味も良く、皆さん完食していました。量的に男性には物足りないかも知れませんが、玄米ご飯をしっかり噛んで食べるとかなり満腹感が出てくるので、ちょうど良い量かもしれません。食後にはノンカフェインのたんぽぽコーヒーや穀物コーヒーをいただき、ランチは終了です。
農カフェhakariの雰囲気の良さ、居心地の良さは参加者にも好評で、古いものを活かした新しさ、というhakariスタイルに共感された方も多いようでした。

名残惜しみながら農カフェhakariをあとにし、最後にストーンエッグ英雅堂を見学しトルマリンの効能などの説明を聞き、ツアーは全て終了。

石和温泉において初めての試みであることから、受入れる側の体制や理解、またツアー行程などに課題もあるものの、「美と健康と癒し」というテーマに沿って、石和の魅力を引き出せたツアーだったと感じました。マクロビオティックスのお料理に関しても、参加者の期待を上回るクオリティに達していたという評価を得られたものもあり、これまでの取り組みの成果が着実に現れていたようです。
今後地域の中でマクロビオティックスの導入が進むことで、石和温泉および笛吹市に新たな魅力が生まれれば、新たな客層の取り込みにも?がります。またマクロビオティックス特有の身土不二の考えの普及により、旅館やホテル、飲食店などで地産食材の活用が進めば、笛吹の食材の魅力がより多くの方に伝わり、地域食材の消費拡大や農業従事者の生産意欲の向上に繋がる可能性もあります。
導入はまだまだ始まったばかり。地域の中で定着させていくためには、行政や地域事業者が一体となった継続的な取組みが不可欠です。今後も動向に注目し、レポートを続けていきたいと思います。

 

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