石和温泉たこあげ祭り
2011年2月20日、笛吹川の河原には、普段とは違う活気が漂っていました。この日、第1回目となる笛吹市石和温泉たこあげ祭りが開催されたのです。このイベントは、石和高温温泉湧出50周年の記念行事として企画されました。全国各地から、笛吹市に凧揚げ自慢が集結しましたよ!
笛吹市役所前の河川敷特設会場では、全国から集まった凧の愛好家たちが、凧揚げの準備をしています。年季の入ったイナセな法被姿の愛好家たちに、凧の写真を撮らせてほしいと話しかけると、早速凧自慢が始まりました。凧師たちにとって、凧は自分のアイデンティティを示すもの。自作の凧を語る口調には熱がこもってます。「ちょっと待って。写真撮るなら糸目もちゃんと撮って」なんて、こだわりの美意識を持っているところが、やっぱりマニアですね。
凧と一口に言っても、絵柄も形も一つとして同じものはありません。鮮やかで古典的な和凧、モダンな立体デザインのもの、鳥型、連凧、キャラクター凧など本当に様々です。河川敷はまるでアート作品の展覧会。バラエティー豊かな凧たちを見て歩くのは本当に楽しいです。
この日は風の無い穏やかなお天気。笛吹川の河川敷を散歩するには快適です。でも、凧揚げするとなるとちょっと困ります。凧の準備は万端ですが、愛好家たちは少し様子見状態。凧仲間同士でわいわい交流しながら、風を待っています。そうして待つうちに、やっと来ました!微風が出てきました!さすが、凧揚げ名人たちは、この一瞬のチャンスを逃しません。笛吹川の上空に、一斉に凧があがりました!
会場で一際目立つ、鮮やかな大凧が揚がりました。揚げているのは新潟市の凧師、小笠原昭衛さん(日本凧の会)。350年以上続く凧の歴史のある新潟市白根町で生まれ育ち、もう60年以上も凧を揚げています。凧師として、世界26ヶ国に日本の凧を教えに行ったそうです。小笠原さんの凧には、浮世絵師歌川国芳のユニークな図柄が描かれています。法被にも同じ図柄が入っていて、小笠原さんのトレードマークとなっています。小笠原さんの凧は、日本のアートカイトとして、イタリアのローマ美術館でも展示されたそうです。この日は風が無くて、大きい凧を揚げるのは難しいと言っていた小笠原さんですが、畳4畳分もある自分のマークを、笛吹の空にも高々と揚げていました。
凧の愛好家たちは、とにかく粋でした。大人が真剣に遊んでいる様子は、本当に魅力的です。凧を揚げるのは技。風を操るのはスポーツ。空という空間で披露される芸術作品。凧揚げは、ロマンの詰まった遊びです。粋な凧師たちが、毎年笛吹に来てくれたら嬉しいです。来年、第2回の開催を楽しみに待っていようと思います。(取材:さっさ&ミーシャ)