農業が育む活力ある笛吹に向かって

約一年に亘って実施してきた「地産地消のサイクルシステムを作る」の講座も、ついに最終回となりました。今回は全6回の講座の集大成として、ミニシンポジウムという形式で開催しました。「農業が育む地域の力~広げよう!地産地消の輪~」というテーマで、農業が育む活力ある地域ビジョンとは何か、地産地消・農産加工・販売をどう進めて行くかについて、様々な立場のパネラーが、各自の視点から意見を述べてくれました。2011年1月20日、御坂町学びの杜で、約2時間にわたって進められたシンポジウムの様子を、要約・抜粋してお届けします。

コーディネーター紹介

森本光彦教授

山梨英和大学教授。読売新聞東京本社で記者生活を送った後、2005年4月から現職。2009年副学長に就任、現在読売新聞記者教育支援委員を務める。ジャーナリズムを専門分野とし、マスメディア(特に新聞の現代社会における環境変化と対応)を研究している。4年前、小河内が主催する『桃源郷フラワーマーチ』に参加して、この地に魅せられる。今回は笛吹のサポーターとして、この会の進行役を引き受けた。

パネラー紹介

加藤恵美子氏

加藤恵美子氏

山梨県甲斐市在住。平成16年に山梨初の野菜ソムリエの資格を取得。現在は全国でも数少ない最高峰の資格であるシニア野菜ソムリエの資格を持つ。「フルーツ消費拡大アドバイザー」として、県内外のフルーツ消費拡大活動や食育事業など幅広く活動している。本講座第2回の講師を務めた。

堀井俊彦氏

堀井俊彦氏

一宮町の若手桃農家集団「桃夭(とうよう)」のメンバー。桃の花を鎌倉市内で観光客に配布したり、産地のPR活動を行っている。また湘南鎌倉の飲食店やギャラリー等と「桃」をテーマにコラボレーションした「PEACHY PEACH FAIR」を開催している。今回は生産者代表として参加。

角田万紀氏

角田万紀氏

境川町にある黒坂オートキャンプ場のオーナー。クラフト指導や、自然体験型カフェ「森くろCafe」を行っている。また、直売所に農作物の出荷や加工品を卸している。地域の文化活動等も行う。笛吹市内でマルチに活躍している主婦として、様々な視点から発言してもらう。

小河内英紀(旬感ネット代表)

小河内英紀

ふえふき旬感ネットの代表。NPO法人を立ち上げ、笛吹市の自然や農業、観光に関する情報の提供とイベントを企画・開催し、観光の促進を図っている。2010年に販売を開始した「完熟枝付き干しぶどう」は、第8回グルメ&ダイニングスタイルショー秋2010新製品コンテストで準大賞を受賞。

1.各自の活動内容

森本加藤さんは山梨県の青果物のPRを大変熱心に最優先になさっているそうですが、具体的にはどのように活動されてますか?

加藤昨年は毎週末ごとに羽田空港の到着ロビーで山梨の桃の素晴らしさをアピールさせていただきました。また、山梨県産の桃は本当に素晴らしいので、県内の生産者のみなさんに、実際に他県のものと比べて山梨県産が良いことを知っていただく講演活動をさせていただきました。

森本堀井さん、鎌倉のピーチピーチフェアというのは、どういうきっかけで始まったのでしょうか?そしてなぜ、山梨ではなく鎌倉で始まったのでしょうか?

堀井僕の取引先の飲食店が鎌倉にあって、以前から何度も鎌倉に足を運んでいたんですが、我々がアクションを起こすにあたって、どこのマーケットを選ぶかと考えた時に、食に対しての関心があって、文化性の高いエリアで認められることが、他のエリアでのPRにも繋がっていくと思い、鎌倉で始めました。

森本山梨県の果実に対するお客さんの評価はどんなものでしょうか?

堀井まだ3年目ですが、反応は非常に良いです。完熟の状態で朝捥いだ桃が、当日か遅くとも翌日に届いて、皮ごとパリパリ食べられるというのは、本当にカルチャーショックなんですよね。非常に評価が高いです。鎌倉の飲食店の皆さんも、僕が忙しい時に手伝いに来てくれたり、農家ガンバレ的な気もちを持っている人が多いと思います。

森本桃夭さんの活動として、地域間交流のようなものが、生まれているということですね。角田さんは、都市部の子供さんたちを受け入れて活動されているようですが、始められた理由は?また反応はいかがですか?

角田キャンプ場を経営してるのですが、ある時、今の子供たちに必要なのは、森で遊び、危ないことも経験することだと学んだんですね。私が森の中をウォーキングしている時に、「森くろカフェ」という名前がふと浮かんだんです。お茶を飲むような感じで、森の中で癒される体験ができる会をオープンしたいと思ったのがきっかけでした。

森本加藤さんは、消費拡大を進めておられるわけですが、山梨県の果樹に対する評価というのは、かなり高いものがあるのではないでしょうか?

加藤主に山梨の桃、葡萄、スモモに力を入れてやっているのですが、とても評価は高いですね。特に桃を好きなお客様は、「やっぱり、山梨の桃が一番!」とおっしゃる方が多いです。反面、中にはまだ、「山梨で桃が取れるの?」という声もあって、驚くと同時にショックを受けたりもしています。

2.農業が育む活力ある地域ビジョン

森本お話を伺うと、皆さん大変精力的に活動されているようですが、そういう活動の背景には、この地域をこうしたいというような想いがあると思うんです。皆さんが目指している地域づくりのビジョンをお聞かせいただけますか?

小河内東京ビッグサイトのギフトショーで干し葡萄のブースを開いた時、ほとんどのお客さんの第一声が「笛吹市ってどこですか?」だったんです。桃・葡萄の生産日本一であるということを、もっともっと情報として届けていけるように連携を組んでやっていきたいなと思ってます。世間に認知されないことには始まらないと思うんです。

森本連携を強め、地域の知名度をさらに上げていこうということですね。全国に向けて発信していく、その橋渡し役を果たしたいと…

小河内そうですね。我々が動くことによって、いろんな所にいろんなものが還元できるように、いい循環のシステムを作っていきたいです。

森本堀井さんは生産者として、この地域をどうしていきたいですか?

堀井桃・葡萄の出荷量日本一という条件が揃ってはいるんですが、今すごく農家が元気が無くて、実際周りも「農家で飯は食っていけないよ」と農業を諦めているところがあります。僕等はもう、この土地で一生暮らしますので、この地域の活性が死活問題です。まずは農業を魅力ある産業にしていくことが不可欠なのではないかと思っています。花が咲き誇る時期、この地域は日本で一番きれいだと、僕は思うんですけど、農業イコール観光資源と捉えたときに、このまま耕作放棄地が増えていけば、名産地でもなければ、観光地でもなくなってしまうので、農家だけでなく、地域ぐるみで景観を維持していくことが、取り組みとして必要だと思います。地域が一丸となって、内需、外需を拡大していくことが、僕の想うビジョンです。

森本加藤さんはいかがですか?この地域がこうなったらいいなということがありますか?

加藤私が描く地域ビジョンは、「農業が盛んだからこそ、このまちは豊かなんだな、景観は美しいし、自然は豊かだし、人も輝いているな」と、住んでいる自分たちもそう思うし、他の地域から来た人にもそう映るような地域になることです。私の理想です。

3.現状の問題点、欠けている点

森本皆さんの描くビジョンがわかったんですが、その背景の問題点みたいなものも自ずと浮き彫りになったような気がするんですね。先程、堀井さんがご指摘になった耕作放棄地や後継者の問題は、3年前に桃源郷フラワーマーチに参加した時も、小河内さんは既にその問題を指摘していらしたと思うんですが、いかがですか?

小河内実際ずいぶん前からそういう問題はあって、身近に見てきました。我々NPOの立場で申し上げますと、なんとかその遊休農地を活かして、例えば醸造用の葡萄であったり、比較的手の掛からないような産物に変えて、農業体験などに役立てるような仕組みを、形にしていけたらと思っています。

森本堀井さん、耕作放棄地というのは、景観の面、農作業の面で色々影響が大きいと思うんですが、益々増えてくるということでしょうか?これをどうすればいいと、日頃農業を営みながら思われますか?

堀井これから5年10年したら、僕の畑の周り3割は、間違いなく誰もやらなくなっちゃうと思います。農業法人みたいなものもいいと思うんですけど、僕としては、やはり日本の農業は個人経営の農業が非常に大事だと思うんです。限られた人員で、きちんと管理していくことによって、クオリティーが保たれる。そういう日本のものづくりの精神が、輸入の問題があっても戦っていける農産物を作れる日本のアイデンティティだと思うので。これからまずは農業を魅力ある仕事にしていかなければいけないです。そうなった時に、興味があっても、全く無手では入れない人たちに対して、周囲の農家が受け入れて、手を貸してあげながら育ててあげることも必要だと思います。また、地域の景観財産を守っていくという目的の中で、有志のボランティアを組織化して、耕作放棄地を整理していったりですとか…。もう農家だけではどうにもならない状態になっていますので…。

森本角田さんは一丸となって地域を盛り上げようとする人が少ないとおっしゃっていたと思うんですが、その辺はいかがですか?

角田少ないというか、たくさんいらっしゃると思うんですけど、私も何か始めたいと思った時に、自分一人じゃ何もできないということに気づいたんですね。頭の中ではいろいろしたいと思うんですが、どうしたらいいかもわからない。たぶん私みたいに思っていらっしゃる方がたくさんいらっしゃると思うんで、旬感ネットさんみたいなところで、点と点を結んで線にして、線と線を結んで面にして欲しいです。

森本農産のロスの問題、B級品問題は、常に農家経営を左右する問題だと思うんですね。こういうものをどのように活用していけばいいか、その辺のアイデアは何かお持ちですか?

堀井我々がやっている鎌倉のピーチピーチフェアも、元々はそこが基点なんです。A級品の桃をさらに高くしていくより、今までロスと考えていたものに数百円の値をつけてあげることの方が、よほど手っ取り早いし、ボトムアップにつながる。我々は同じように手をかけているのに、規格によって、一方はA、一方はBとなるのがいたたまれなかった。なんとか活用できる場はないかと考えての、飲食店とのタイアップだったんです。我々が格安でB級品を提供することによって、飲食店がヒット商品を作れば、あちらの売り上げが上がる。イコール我々の売り上げにも繋がるという関係が作れます。さらに、我々のお客を飲食店に紹介し、飲食店でもA級の桃を買いたいというお客さんの囲い込みをしてもらえるというパートナーシップですね。

4.「地産地消」・農産加工・販売をどう進めていくか

森本農業が育む活力ある地域のためには、地産地消ですとか、農産加工の販売とか、具体的にどう進めるかをお聞きしたいんですが、角田さんは縁側カフェをやりたいということですが、いかがでしょう?

角田野良カフェ、縁側カフェがあったらいいな思うのは、近所に住んでいるお爺ちゃんお婆ちゃんに元気になってもらいたいからです。地域の食べ物や旬の物を体に入れることが大切だということを、お爺ちゃんお婆ちゃんから子供たちに教えてもらう場であったらいいなと思うんです。採れたての桃をその場で食べる、そんな縁側カフェがあったらいいなって思います。

森本小河内さん、今、完熟枝付き干し葡萄を出されて、これはいろんな賞を受賞して、大変評判がいいようですが?

小河内そうですね、我々が取り組んでいる特産品の開発というのは、いずれは観光のまち笛吹市に還元できるような、商材として供給できるような取り組みです。例えば、ロザリオビアンコという八代町特産の高級葡萄は、糖度が上がると絣症といって、表面に茶色い模様が出てしまうことがあります。そうすると、味は一級品なのに、見た目だけで規格外、B級品となり、キロ単価が下がってしまう。でもそれを干し葡萄として乾燥することで、付加価値を付けて生まれ変わります。さらにチョコレートをかければ、表面の問題は全くなくなり、B級品がA級品を跳び越えて、特級品になるわけです。そうやって、農家との連携をしています。

森本加藤さんは山梨県の特産品のPRのお役目を担ってるわけですが、外との繋ぎ役として、もう少し県内に向けてこういうものを、こう作ったらどうかとかいうご提案はありますか?

加藤実際に旬感ネットさんが販売された干し葡萄は、何年も前から「山梨に行ったら国産の干し葡萄はあるの?」ってよく言われてたんですね。でも探してみても全然無くて、今回枝付きの味のいい、評価の高い干し葡萄が出てきたというのが、すごく嬉しいニュースだなと思いました。果物の場合は生食で食べるのが、一番おいしいご馳走だと思ってるんですけど、これからのことを考えると、どういうふうに上手に加工していくかは不可欠なところになっていくと思います。

森本干し葡萄も、外の人からの需要みたいなものがあったんですね?そういう外からの目といいますか、ニーズを掘り起こすとか見つけるということが、非常に重要なことではないかと思いますけど、それはどうやっていったら良いでしょうか?

加藤アンテナを張っていくしかないのかなと思うんです。私も「ケーキ屋さんでおいしいフルーツを探してるんだけど、いい農家さんを紹介してくれないか」なんて聞かれることがあるんですが、どこに話を振ったらいいのか困ることがあるんですね。農協とかは流通が全然違うので、できたら直接やりとりできる農家さんがいい。ケーキ屋さんとかも、その方が「誰々さん家の桃を使ったタルトです」という売り方ができます。でも、どこの農家さんがそういう対応が出来るのかということがリストになっていない。いろんな人がそういう情報を必ず持ってますので、それをどこかに集約できるような事ができたら、すごく良いんじゃないかなと思います。

森本小河内さんいかがですか?ふえふき旬感ネットとして、そういう結びつき、連携役が果たせるかどうか?

小河内そうですね、果たしていきたいし、積極的に関わっていきたいなと思っています。僕等からすると、直接に生産物を作っていくということができないので、あくまでも側面からという形でサポートする、繋げていく、連携を図っていくという役目が大事なのかなと。

5.考えるべき農業周辺の要素

森本これまで、活力ある地域をめざして地産地消のありかた、農産加工のあり方というのを話していただきましたが、そういったもの以外に農業周辺で考えるべき要素というのはいろいろあると思うんです。農業を結びつけた観光、あるいは農業体験ですね、この辺はいかがでしょうか?

堀井僕の所では、体験というか重労働をしてもらってます。ただ、やっぱり楽しい楽しいって来てくれますし、スキルアップもしてます。農家との距離感が近づくことによって、相互理解も深まっていきますし、エンドユーザーといいますか、マーケットの生の声を聞けますし、農業との距離を縮めていく作業としては、非常に有効だと思います。

森本観光資源としての農業を含めて、これからどういうふうに進めてったらいいかという何かお考えはありますか?

堀井できれば是非、最初に景観条例か何かを作っていただけたらと思うんですけど。外国なんかですと外に干す洗濯物の色まで指定されていたりとか…。せっかく草の根的に景観維持をしていても、いろんな看板が立ってしまえば、非常にナンセンスなことだと感じるんで…。農業体験については、農繁期とか高齢化なんかで、手が回らないという所に、何か受け入れ態勢を組織化して、各農家の手伝いをしてもらうのが、実効性があるかなと思います。参加者には「手をかけた結果として桃が実っていく」ということをわかってもらえれば、農業の楽しさを知ってもらえると思うんです。

森本かなり本格的な農業予備軍を作るというのも一つの方法であるということですね。角田さんはイベントを通して農業体験とか考えていらっしゃると思うんですが。

角田遊休農地がキャンプ場の周りにもたくさんありまして、それを年間いくらという形で貸してます。農産物の作り方とかも地域の人みんなで教えてあげるというようなことをしてます。本当に安いレンタル料なんですが、草ボーボーになるよりはと。

森本自然志向の人たちが増えてますし、リタイアした人たちが、有り余る時間を使って農業を体験したいとか、実際に二地域居住をしたり、移り住んでしまう人たちが、すごく増えてますよね?

角田キャンプ場の周りにも空いてるお家がたくさんあるんですね。キャンパーの方たちが実際に移り住んで来ることがすごく多いです。本当に今、自然派って方たちが増えてるっていうのは、すごく実感します。

森本お金を出しても農業体験をしたいということは、農作業に消費者を巻き込んだらどうかという考えがあるんですけど、それはどうですか?

加藤野菜ソムリエ仲間や果物好きな方々は、食べるだけではなくて、作る方にも、みなさん興味を持っていて、「何か簡単に手伝えることがあったら、是非参加したい」という声も結構あるんですね。本当に簡単なことでもいいので、一緒に参加させてもらえたらいいな、そういうシステムができたらいいなと思います。ただ、受け入れの農家さんの立場になった時に、何年もかけてきた大事な木に対して、素人さんが手を出すっていうのは怖いだろうと思います。そういったところで、受け入れてくださる農家さんが、どこにどのくらいいらっしゃるのかということも、私的には知りたいのです。そうするとやはり、どこかで中継点を持ってくださる方がいらっしゃるとすごくありがたいと思うんです。以前、お世話になっている農家さんにお願いをして、都市部で桃を買ってる人たちに、桃の袋掛けをさせていただいたんですけど、一回でも袋掛けをすると、二度と桃は値段が高いと言わなくなるんですね。「これだけの手間がかかってるんだったら、値段が高いのは仕方ないよね」って。多くの方に、食べるだけではなくて、体験も学んで、本当の価値を知っていただきたいというのがあります。

森本そういう形での、外との接点ですね。外から呼び込んでくる、その橋渡し役も、旬感ネットの一つの役割であると。

小河内そうだと思います。果物を作るのは手間がかかるってことを、一般の方は知らないわけですから、そういう情報をいかに届けるべきところに、しっかり届けるかが大事だと思います。自分たちの立場として出来る限りのことをしたいなと考えています。

森本外から、農業に関心を持つ人たちを呼び込んでくるという点では、地域内での連携というのは大切になってくるのではないかと思いますが、堀井さんは、地域内での異業種連携の必要性についておっしゃってたと思うんですけど。

堀井さっきから話に出てるんですけど、非常にコミュニケーションの場というのに欠けてるというか、少ないのかなという気がします。実は高齢の米農家さんの中には、収穫後の藁を片付けて処理するのに困ってる家があったりするんですが、僕らの畑では、そういうものはお金を払ってでも欲しいものなんです。利害が一致して、お互いが、感謝する関係が築けるんです。そういったことは、沢山散在してると思いますので、連携をとっていくことによって、新たな発見も生まれてくるし、まずはそういった場所ですよね。旬感ネットさん、(笑)お願いできればと思います。

森本活力ある地域というものを作るために、皆さんいろんな活動を熱心にされているし、これからもされていくということがわかりました。で、その中で、行政の果たす役割というのも大きいと思うんですけれども、やはりみなさんのお力だけでは大変なものがある。行政に何を期待するかとか、こうあってほしいというご意見のある方は?

小河内最近は行政側が市民の方に目を向けてくれているというのを実感してます。「民の力」をというような謳い文句の中で、我々も非常に動きやすくなってます。相談の窓口としては非常に助かってますね。まだ、いろんな意味でしくみ等、整備しきれていない部分はあると思うんですが、笛吹市も合併して5年6年という若い市でありますし、今後良い形になっていけばいいなと思います。

森本加藤さんは、県産青果物の対外アピールについて、行政に希望がありますか?

加藤山梨県が、桃・スモモ・葡萄の生産日本一と謳っていても、県外の人からすると「桃は岡山でしょ?」とか「葡萄は長野でしょ?」とか、そういう声がすごく多いんですね。仕事で他県の方から「山梨県は宣伝が下手だね」っていうことを言われるます。山梨県も宣伝はしてるんですが、なかなかマスへとうまく結びつかない。もう草の根的にコツコツやっていくしかないのかな?というのが一つです。あと、私の思い描く夢の一つで、山梨県は果物の生産量も日本一だけど、消費量も日本一なんだって、県民が果物をいっぱい食べていて、すごく元気な県なんだってこともアピールできていったらいいんじゃないかと思っています。作り手さんも高齢化しているんですが、果物に関しては、食べる方も高齢化しているんですね。世代別に見てみますと、一番食べてる年代が70歳以上なんです。その次が60歳以上、その次が50歳以上ということで、食べる側もご年配の方が多くて、若者世代20代30代は一日に70グラムしか果物を食べていないという現状があります。私は作り手さんの応援をしつつ、食べる側も育てていく、ずっとお年寄りになるまで、いつも食卓に果物が上ってるような食育活動をやっていきたいと思っています。子供のうちに「山梨県の桃や葡萄ってこんなにおいしいんだ」ってことを思えるような、そういった消費宣伝活動をしていけたら良いんじゃないかと思います。

森本今日は農業を軸にして、地域の力をいかに高めていくかということで、色々論じてきました。地域の力を高める最大の基礎は、中心になって熱心に活動される人々、グループが、どれだけ存在するかだろうと思います。この地域にはこのように熱心に活動する人々、グループが確かに存在しますので、これからはお互いの連携をいかに図っていくか、具体的にどう進めていくかということが、一つの大きな課題になるのではないかなと思います。これからも、一サポーターとして、笛吹地域の発展を見守らせていただきたいと思います。

まとめ

今回のミニシンポジウムでは、各団体の想い描く笛吹の未来が伝わってきました。短い時間の中でも、パネリストが日頃抱いている理想や思いは、熱く伝わってきたと思います。ただ、会場からは「内容が大雑把に広がりすぎたのでは?」という声も聞かれました。シンポジウムの中で何度も出てきた意見に、「各自の持つ情報を集約し、他者が広く活用できるような「情報の中継地点」が欲しい」という希望がありました。旬感ネットに、その中継地点になってほしいという声もありました。点と点を結んで線にして、線と線を結んで面にする。その役割を担っていくことが、今、私たちに求められていると強く感じました。今回のシンポジウムで、市民が横に繋がる、連携することが、これからに向けての重要課題であることを認識することができたのではないかと思います。(取材:さっさ)

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