ハンドベル・クリスマスコンサート

今年で8回目を迎えたクリスマスコンサート

2011年12月17日、笛吹市スコレーセンターで、毎年恒例の山梨英和高等学校聖歌隊のハンドベル・クリスマスコンサートが行われました。山梨英和中学校・高等学校はカナダの宣教師により設立された甲府市にあるミッション系の女子校で、122年という長い歴史のある学校です。創立以来、キリスト教信仰に基づき、毎日礼拝をし、聖書を読み、讃美歌を歌い、祈ります。聖歌の合唱やハンドベルで礼拝に従事しているのが、聖歌隊です。聖歌隊は中学校・高等学校合わせて、50人以上の生徒が属しています。校内の宗教行事や年に2回の定期コンサート、合唱コンクールやハンドベルのコンクール、また病院慰問演奏や幼稚園などの演奏会出演で、数多くの場で広く活躍しています。今回のコンサートは、今から8年前、スコレーセンターからのお誘いで、毎年この時期に行われるようになった恒例行事だそうです。会場には、小さなお子さんからお年寄りまで、幅広い世代の方々が演奏を心待ちにしていらっしゃいました。午後2時、開演のベルがなると同時に、セーラー服姿の聖歌隊が静かに会場に現れました。その瞬間、場内には静穏な空気が流れました。今回はクリスマスコンサートということで、イエスキリスト生誕にまつわる讃美歌やクリスマスソング演目が全15曲ありました。

聖歌隊の旗

サンタクロースとトナカイ

第1部、最初はキリスト教の学校らしく讃美歌から始まり、レ・ミゼラブル、そしてクリスマスソングが演奏されました。途中、ミラーボールが回り、会場は一気にクリスマスムードになりました。聖歌隊の奏でるハンドベルの美しい音色に思わずうっとりしてしまいました。また、照明の光に反射され、光るハンドベルがとても幻想的でした。山梨英和中学校・高等学校の聖歌隊がハンドベル演奏するようになったのは、1973年にカナダの宣教師の先生がカナダに注文し、寄贈されたのがきっかけでした。これがもとになり、中学・高校にそれぞれベルが用意されています。当時は2オクターブでしたが、今では5オクターブを2セットまで持つほど、ハンドベルクワイヤとしても活動をしています。そんな彼女たちの演奏は煌びやかで、「清らか」という言葉がぴったりでした。演目もただクリスマスソングを演奏するだけでなく、お客さんを楽しませる演出として劇も加えられていました。サンタクロースとトナカイをコミカルに、また可愛らしく、客席に来てパフォーマンスを入れたり、演奏とのタイミングもピッタリでした。パンフレットには歌の歌詞も印刷され、聖歌隊と会場のお客さん、みんなでクリスマスソングを歌いました。

演奏する顔は真剣そのもの

ハンドベル体験もありました

ハンドベルを間近に見ることができます

第2部は合唱から始まりました。中でも一番印象的だった歌は「あすという日が」でした。この曲は、東日本大震災の影響で“第34回アンサンブルコンテスト全国大会”への出場を断念した、仙台市立八軒中学校吹奏楽部・合唱部が被災直後に避難所で歌った曲です。メディアで大きく取り上げられる以前は、卒業ソングとして歌われている曲でした。しかし、今では全国各地で復興に向けて、被災者を応援する歌となりました。今回のクリスマスコンサートでこの歌を選曲されたのも、毎年行われる学校行事“修養会”で、一つのテーマとして今回の震災のことがあったからだそうです。被災地の復興を心から願う思いから、聖歌隊顧問の落合先生の提案でコンサートでも歌うことになりました。各種コンクールの出場経験のある実力派だけあり、やわらかい歌声は客席を魅了しました。そしてまたハンドベルの演奏に再び戻り、「上を向いて歩こう」を全員で合唱しました。今年は地震・台風といった大きな災害が起こった年です。復興ソングであるこの歌を歌う人の中には涙をこぼすお客さんもいました。

復興を願い、歌われた「あすという日が」

最後のアンコールでは、クリスマスでお馴染みのチャイコフスキー作曲のバレエ曲「くるみ割り人形組曲」が再び演奏されました。物語はクリスマスイブに起こった、少女クララとくるみ割り人形のお話です。演奏のリズムが急に速くなったり、細かく複雑なリズムを表情豊かに演奏していました。聴いていて、主人公クララや金平糖の精たちが出てきそうでした。演奏が終わった後、会場のみんなが感動の声をあげました!!

「自分が書いた劇で会場が盛り上がり、楽しんでもらえてよかったです。」と話す聖歌隊副隊長を務める神宮司はるかさん。今回のコンサートの劇の原稿を、他の隊員と3人で手がけました。中でも演奏した演目の中で、レ・ミゼラブルと春節祭が難しかったそうです。「今日演奏したことで自信が持てました。」と嬉しそうに話す神宮司さんの目は、きらきら輝いていました。

ハンドベルは、1つのベルで1つの音程の音しか出すことができません。1曲に対し、1人で4・5個のベルを持ちます。各々が異なる音を持ち、一緒に奏でることによって和音が生まれ、メロディーが初めて奏でられます。1音でも欠けてしまうと、曲が成り立たない楽器です。さらに、ハンドベルには奏法はいくつかあり、基本の奏法以外に弾力性のあるマットの上にベルを叩きつけたり、片手に2個ずつ計4個のベルを一度に操ったりと様々あります。全員の呼吸のタイミングが合わせなければ、音色も変わってしまう繊細な楽器です。何度も練習しタイミングを合わせ、励まし合い、努力し積み重ねたことにより、1つの音から全体の調和で美しい音色を奏でてきたのだと思います。来年のクリスマス、山梨英和高等学校聖歌隊のハンドベルの音色や美しい歌声を聴きながら、楽しいクリスマスのひとときを笛吹で過ごしてみませんか?(取材:ミーシャ/2011.12)

40年もの歴史を持つ山梨英和中学校・高等学校聖歌隊のハンドベル

 

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