八代の菊

収穫を待つ菊

日本の国花である菊、主に葬祭や法事などに年間を通して使われていますが、ここ笛吹市の中でも八代町竹居・高家・奈良原地区では菊栽培を行っている農家が多くあります。今回その「八代の菊」を40年以上栽培しているスペシャリスト、橘田紀安さんにお話を伺いました。

整然とした菊畑

菊には沢山の種類があり、分類の仕方もいくつかあるそうです。開花時期から夏菊・夏秋菊・秋菊・寒菊に分けられ、花の大きさによって、大輪ギク、中輪ギク、小ギクに区分されます。それ以外にも大菊・古典菊・小菊・その他の菊に分ける場合もあります。橘田さんが育てているのは主に切り花用の一輪菊です。長さ1m30cmくらいの「供花・仏花」で葬祭や盆などに使われます。菊の最盛期は7月から10月でお盆前・お彼岸前の7月中旬・8月中旬・9月中旬が忙しい時期です。

空に向かって真っ直ぐ伸びています

お茶畑にも似ています

橘田さんは昭和38年頃から菊栽培に身を捧げています。当時養蚕業が下火になり、多くの農家が果実などの商品作物の栽培に移行していきました。八代町高家地区では菊栽培に切り換える農家が多く、橘田さんもその流れで始めたのだそうです。現在、生産量は年間およそ10万本、主に京浜地方に出荷しています。たった一代で菊栽培を軌道に乗せた橘田さんですが、今のところ後を継ぐ人はありません。お盆やお彼岸など、菊は1年を通して需要のある花ですが、八代町では後継者を持たずに菊栽培をやめていく農家も少なくありません。昭和45年頃は140人以上の人が菊を栽培していましたが、今では大きく減少してしまいました。若くて50代、多くは70歳代後半の方が栽培しているのが現状です。

虫の嫌う黄色いライト

橘田さんの菊の畑には黄色ライトが設置されています。これは電照栽培に使われるのではありません。実は虫には黄色い光を嫌う性質があります。この光を利用することで、害虫が菊に付きにくくしているのです。菊栽培以外でもこの黄色い光はトンネルなどでも利用されています。しかしここ5・6年、害虫であるオオタバコガの幼虫が異常発生しています。その繁殖の勢いは凄まじく、黄色ライトを以ってしても被害を防ぎきれません。橘田さん曰く、「異常気象が原因ではないか」とのことです。

格子状に張られたフラワーネットが支柱と同じ働きをします

菊は切り花なので、茎が真っ直ぐでなければ売れません。そのためフラワーネットを使用して栽培しています。橘田さんは毎日我が子のように菊に話しかけているそうです。花言葉で菊は「高貴」を意味します、その「高貴」な菊栽培を守る橘田さん。歳は70歳を超えているそうですが(恥ずかしがり屋なため、正確な年齢は秘密です)、菊への愛情を語ってくださる様子は、全くお歳を感じさせないほどイキイキとしていました。(取材:ミーシャ)

■おまけ■

笛吹市八代町の花は「菊」。八代町内のマンホールには菊がデザインされています。

新鳥坂トンネルの大石側壁面には「八代の菊」がデザインされています。

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