第3回「ザ・いさわJAZZ」 2010

石和温泉駅前でのオープニングライブ。地元の飲食店経営者らによる「ザ・いさわJAZZ宣伝隊」が歌で盛り上げました

石和温泉郷の旅館・ホテルなどを会場にジャズライブを繰り広げる「ザ・いさわJAZZ」が6月25日から3日間にわたって開かれました。25日14時、石和温泉駅前でのライブを皮切りにイベントがスタート。梅雨時の野外のイベントとあって天気が心配されましたが、この日は薄曇りのまずまずの空模様。一面グレーの雲に覆われた空の下、地元石和を謳ったPRソング「石和わが町」の軽快な曲でオープニングライブは始まりました。「♪ガンガンガンとお湯が湧く ジャンジャンジャンと人が来る…」。一度聴いただけでなぜか耳について離れない昭和歌謡風のこの曲。イベント発起人の一人、中川武さんが作曲し、中川さんの友人で脚本家のジェームス三木さんが作詞を手がけました。両氏ともボランティアで制作したといい、そんな石和への想いが込められた曲をさらに地元の飲食店経営者らが熱唱。皆で石和の町を盛り上げようとする献身的な姿に熱い心意気を感じます。

25日のライブの様子から。ホテル甲斐路(左)、モンデ酒造

続いてプロのジャズアーティストの演奏に変わり、駅の改札口から出てくる人も、これから電車に乗ろうという人も、ジャズの軽妙なリズムとメロディにつられて足を止め、演奏に見入っている様子です。クラリネット、サックス、ウッドベースなどの「生」の音が心に響き、ジャズ特有の印象的なフレーズや歌詞が聴く人の心を強く惹きつけるのでしょう。駅前にはだんだんと人だかりができ、無料で振る舞われるワインを片手にプロが奏でるジャズの音色を堪能されていました。「さて次はどの会場へ行こう?」ポケットサイズのガイドブックを開いてお目当ての会場をチェックするグループの姿も見られます。私もガイドブックを頼りに、次にモンデ酒造、その後はホテル甲斐路…などとプランを立て、ライブ会場をはしごしました。

渋めのブルース系の曲も聴かせてくれたロックスでのライブ

夜のライブは20時台を中心に各会場で1、2ステージ行われました。会場ごとに様々なアーティストの演奏が聴けるのはもちろん、手作りカレーや富士桜ポークのスペアリブなどワンコイン(500円)で味わえるオリジナルフードもあり、会場選びに迷ったらワンコインフード目当てに選ぶもよし、というくらい会場ごとにメニューも色々。人それぞれに自由にその時の気分やアドリブで会場を選べるのがまさにジャズ感覚です。私は、うちのHP内「ぶらり笛吹石和ほっと情報」の取材でご協力頂いたロックスに、やはり同じ取材でお世話になったBuddyのパンチ加藤さんが出演するとあって、迷わず駅前通りにあるお店へ直行。お店に着くと、すでに外からでも分かるくらい店内の盛り上がり度合いが伝わってきました。初めて訪れる人にはちょっと入りにくい雰囲気だったかも知れませんが、一旦ドアを開けて中へ入れば、そこにはとっても居心地のいいハートウォームな空間が…。音楽に合わせてリズムをとる隣の見知らぬ人の体の揺れがダイレクトに伝わってくる、そんなフレンドリーなライブが繰り広げられました。

旅館糸柳のライブ会場

糸柳のワンコインフーズは内藤社長特製手作りカレー(左)、ホテル石庭でのマリア・エヴァのライブ

この夜は、ロックスから旅館糸柳ホテル石庭へと移動。2日目は前夜の興奮醒めやらぬまま午後からマルスワイナリーいさわ温泉観光の駅へ。そして夜のライブにも3ヶ所ほど廻ってみました。自分にとって当初ジャズは難しいというイメージでしたが、こうして何ヶ所か会場をはしごするうちに、ジャズという音楽が意外と敷居の高いものではなく、気軽に楽しめるものだということが分かりました。会場で演奏されていたのは、「虹の彼方に」「ルート66」「縁は異なもの」などよく知られたジャズの定番であり、またテレビコマーシャルに使われ知らず知らずのうちに聴いていた曲もあります。例えばJRの「私のお気に入り」や「テイクファイブ」「サマータイム」など。「イパネマの娘」「テネシーワルツ」「この素晴らしき世界」などボサノヴァやポップスの王道もあり、ディズニー映画に使われた「星に願いを」や「いつか王子様が」、またエヴァンゲリオンの「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」もありました。そして多くのライブ会場で演奏されていたのが、「酒とバラの日々」。ワインの産地、笛吹にあやかっての選曲だということで、ミュージシャンたちのそんな計らいによってジャズがより親しみやすいものとなったような気がします。

マルスワイナリー地下1階の会場は観客が溢れてしまうほどの盛況ぶりでした

26日のライブの様子から。ホテルふじ(左)、いさわ温泉観光の駅

最終日のいさわ温泉観光の駅のステージでは、降ったり晴れたりの天気の中、Barrel House、デキシー・オンマイマインドなどアマチュアバンドによるライブが展開。そしてラストステージを飾ったのはは実力派ヴォーカルのマリア・エヴァ。観客から何曲もアンコールがかかり、終了予定時刻の15時半を過ぎても音楽が鳴りやまないほどに盛り上がりました。

最終日、ジャズの演奏の合間に旅館組合女性部有志の皆さんが踊りを披露し会場を盛り上げました

温泉カレー、鮎の塩焼き、焼き鳥などが出店(左)、ワインはもちろん笛吹市ワイン会にお任せ

野外で、ワイナリーで、ホテルの広間で、ワインに酔いしれ昼も夜もジャズ漬けになった3日間。来年の開催も決まっているとのことで、ずっと石和の町で続いて欲しい素敵なイベントだと思いました。ジャズを街角で演奏し、町おこしのイベントとしてやっている例は全国にも数多くありますが、温泉地で、しかもご当地産のワインが同時に楽しめるジャズイベントとなると、この「ザ・いさわJAZZ」以外にはありません。日本中どこにもないジャズイベントとして発展して、一歩一歩進化し続けていくことを期待し、これからも応援していきたいと思います。素敵な音楽との出会い、そして楽しい時間をありがとうございました。(取材:しんたま)

石和ジャズ物語はこちら

 

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