カルテット・スピリタスがやってきた!

2011年1月27日~29日の3日間、笛吹市に素敵な音楽家がやってきました。4人のサクソフォン奏者からなる「カルテット・スピリタス」のみなさんです。ホールでのコンサートだけでなく、小学校での出前コンサートや中学校吹奏楽部の指導会などのアウトリーチも行ってくれました。笛吹に爽やかな感動を運んで来てくれた、4人の3日間を取材させていただきました。

※アウトリーチ……芸術に接する機会の少ない地域の学校や福祉施設に、公共ホール等がプロのアーティストを派遣して、ワークショップやミニコンサートなどを行う普及活動。

【カルテット・スピリタスとは?】
「新しいエスプリ(SPIRITUS)を持つサクソフォン・カルテット」として2003年に結成。メンバーはそれぞれにソロ、室内楽、オーケストラ、レコーディング活動などを行い、さまざまな音楽シーンで活躍している。レパートリーはクラッシックをはじめポップスから現代音楽まで幅広い。第5回大阪室内楽コンクールではセミファイナリストとして、日本を代表し、国際的に有名な室内楽グループとも肩を並べた。エンターテイメント性の高いコンサートが好評で、全国各地で活動を展開している。(プログラムより抜粋)

1月27日(1日目)

一宮南小学校6年生の、この日の音楽の授業はスペシャルです。先生はなんとカルテット・スピリタス(以下、スピリタス)の4人!ぽかぽか日差しの差し込む音楽室で、素敵な授業が始まりました!愉快なメロディーに乗って彼らの登場です。オープニングから子供たちは大爆笑!面白いお兄さんたちに、がっちり心をつかまれました。

みんなの良く知っている曲を、楽しいトークを交えて演奏してくれます。その合間には、楽器を分解して構造を説明してくれたり、楽器を触らせてくれたりしました。ソプラノ、アルト、テナー、バリトンそれぞれのパートの役割もわかりやすく教えてくれます。すごいテクニックの演奏も披露してくれて、そのカッコよさにみんな釘付け。楽しすぎる授業は、笑いっぱなし。みんなスピリタスの大ファンになってしまったのではないでしょうか。

音楽の授業の後は、教室でスピリタスのメンバーと一緒に給食を食べました。みんな楽しそう!どんな話をしたのかな?

1月28日(2日目)

今日は芦川小学校での出前コンサート。芦川小は全校児童13名の山村の小学校です。芦川町は山に囲まれた過疎地域です。プロの音楽家が演奏に来てくれる機会はとても貴重です。今日は児童の父兄も、学校の先生たちも、一緒にコンサートを楽しみます。

昨日と同じく、オープニングはあの愉快なメロディーから始まりました。芦川小の子供たちも、やっぱり大爆笑!目をキラキラさせてスピリタスを見つめています。楽器を触らせてもらった時は、興味津々。サックスを見るのは初めてという子もいるようです。素晴らしい演奏は、子供たちにもちゃんとわかるみたい。息をのんで見つめています。そして面白いコントには、身をよじって笑っています。

子供たちの嬉しそうな純粋な笑顔を見ていたら、なんだか幸せで胸の奥がじーんと熱くなってきました。ふと見ると、父兄も先生たちも、みんなそんな表情をしています。子供たちを楽しませてくれる人を、大人も好きにならずにいられません。陽の差し込む小さなレクリエーションルームで、笑いと幸福感に満たされた時間を過ごしました。

終了後の児童たちの感想です。
「面白いことも言ってくれて、すごい演奏もしてくれて嬉しかった」
「4人が楽しい人たちで、ともだちみたいに楽器を教えてくれたり聞かせてくれたりしたのでうれしかった」
「ぼくもあの楽器をふけるようになりたい」

給食もスピリタスと一緒にいただきます。面白くて優しいお兄さんたちに、すっかりなついてしまった芦川の子供たちでした。

1月29日(3日目)

今日は笛吹市スコレーセンターでスピリタスのコンサートが行われます。昨日までのラフなスタイルとは打って変わって、ビシッと決めてるスピリタス。かっこいいです!

第1部はクラッシックの曲を演奏してくれました。サックスの音色って、とても温かみがあるんですね。4人の美しいハーモニーは穏やかでやさしくて、うっとりしてしまいます。そして素晴らしいテクニックには興奮を抑えられません。彼らの演奏は実に多彩。時には弦楽器、時には打楽器のように聞こえます。4本のサックスで、まるでオーケストラみたいに聞こえるから本当に不思議です。

第2部は石和中学校、御坂中学校の吹奏楽部と共演しました。二つの中学の吹奏楽部とスピリタスは、この3日間一緒に練習をしてきました。プロの演奏家と舞台の上で共演するなんて、とても貴重な体験です。舞台の上の吹奏楽部員は、少し緊張しているみたい。スピリタスがおしゃべりでリラックスさせてくれます。楽器が好きな者同士、舞台の上で交流します。

顧問の先生の指揮で、スピリタスも、吹奏楽部に混じって一緒に演奏しました。その様子を見ていると、こんなに凄いスピリタスのメンバーも、かつてはみんなと同じ中学生だったんだな…と、ふと思いました。プロの演奏を間近に聞いたこの日の経験は、生徒たちの未来に何かの種をまいたかもしれませんね。

第3部は誰もがよく知ってる曲を演奏してくれました。オープニングは彼らのあの曲から。愉快なメロディーが聞こえてくると、「出た!出た!」と、何が起こるか知っている子供たちはもう大喜び!会場のお客さんも爆笑です。やっぱりこのネタは最高に盛り上がります。大人も子供も、みんなお腹を抱えて笑っています。笑った後は、爽やかでいい気持ち。このホールもまた、温かい幸福感で満たされました。

スピリタスに笛吹市に来てもらうために、スコレーセンターでは1年も前から、交渉を行ってきたそうです。彼らが来たら、子供たちが笑顔になることを確信してたんですね。彼らの楽しい温かい演奏を、笛吹市民に聞かせたいと思ってくれたことが本当に嬉しいです。

スピリタスのステージからは、プロの演奏家として舞台に立つ喜びが伝わってきます。子供たちを笑顔にすることを楽しんでいるのが伝わってきます。そしてメンバー同士すごく仲が良くて、スピリタスであることを幸せに思ってるのが伝わってきました。彼ら自身が、音楽で人と繋がることを楽しんでいるから、子供から大人までみんなの心を打つんですね。私もスピリタスの大ファンになりました。彼らに会った人は、みんなそうじゃないでしょうか。好きにならずにいられない素敵な4人組です。(取材:さっさ)

【カルテット・スピリタスメンバー紹介】

松原孝政さん(ソプラノ・サクソフォーン):スピリタスをまとめるリーダー。子供たちからお礼を言われた時は、一番瞳がうるうるしていたような…。かなり涙もろいとお見受けしました。優しい笑顔が魅力的です。

波多江史朗さん(アルト・サクソフォン):スラッとスタイルが良くて、おしゃれで大人の雰囲気を漂わせている史朗さん。にもかかわらず、コントのボケ役を嬉々として演じているところが、おちゃめで素敵です。

松井宏幸さん(テナー・サクソフォン):ステージでは進行役。一瞬にしてその場を和ませるトークは、頭の回転の速さと、細やかな心遣いのなせる業だと思いました。本当に頭のいい人は、すごく優しい人なんですよね。

東涼太さん(バリトン・サクソフォン):落ち着いた凛々しい雰囲気ながら、スピリタスの中ではイジられ役。お兄さんたちの愛を一身に受ける末っ子キャラです。からかわれている涼太さんを見ていると観客も和みます。

彼らの素晴らしい経歴についてはこちらをご覧下さい(外部リンク)

スピリタスへのインタビューはこちら

 

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