6月の風にのせて
～ジェントルブリーズ・ライブ in ふえふき～

2011年6月25日、「6月の風にのせて　～ジェントルブリーズ・ライブ in ふえふき～」と題して、山梨県内を中心に活動中のジェントルブリーズのライブが笛吹市スコレーセンターにて開催された。

尺八奏者の岩間恒と、電子オルガン奏者の前田栄子による二人組ユニット、ジェントルブリーズ。古典からポップスまで、ジャンルにとらわれず幅広いナンバーを、抜群のアレンジとテクニックでプレイし、尺八と電子オルガンという異色なコラボレーションから奏でられる癒しと情熱が織り交ぜられた世界は、県内外で高い評価と根強い人気を集めている。ちなみに、岩間は純和風ジャズグループの風カヲル時として、前田はシンガーソングライターのチャンティとしても活躍中だ。

会場を見渡してみると、小さなお子さん連れのご家族からご年配の方まで、ジェントルブリーズのサウンドスタイル同様、幅広い年齢層の方々で客席は満員となっていた。

この日のライブは、尺八の響きが心地よいゆったりとした和のナンバー「蒼き海の道」からスタート。お二人の挨拶をはさんだ後は、アジアンテイストにアレンジされた「島唄」へ。ライブ前半は「涙そうそう」や「ジュピター」といった耳馴染みのあるナンバーがお二人ならではのアレンジで演奏され、ラストは津軽三味線で知られる吉田兄弟のダンサブルなナンバー「ライジング」で終了。スローなナンバーでは尺八と電子オルガンが織りなすメロディーのコラボレーションがいっそう引き立ち、緩やかな尺八の音色には心癒されると同時に、どんな楽曲でも違和感なく繰り広げられる尺八の演奏に只々驚かされた。

ライブ後半は、電子オルガンの前田と、笛吹市民劇団の子どもたちがステージに登場してスタート。前田は、笛吹市民劇団のミュージカルで楽曲制作や歌唱指導も行なっており、この日、ステージでは初めてとなる前田の演奏と子どもたちの歌声の共演が実現。そのミュージカルから「ドリーム・ドリーム・ドリーム」と「その夢を」の2曲が披露され、満面の笑顔の子どもたちによる元気いっぱいのパフォーマンスが繰り広げられた。

先生であり、憧れのアーティストでもある前田との初共演は子どもたちにとっていかがだったのだろうか。

広瀬美月さん「とても楽しくて、いつも舞台に出ているときとは違う感じでしたけど、先生の電子オルガンと一緒に歌えてよかったです」

千葉穂乃花さん「いつもとは違った感じだったんですけど、ほんとに楽しかったです」

桑原瑠璃さん「今年は、今日が初めてのステージだったんですけど、先生と一緒にしっかり出来たと思うのでよかったです」

再び岩間が登場して、リラックスした雰囲気のなか、お馴染みのスタジオジブリ作品「天空の城ラピュタ」から主題歌「君にのせて」、「となりのトトロ」からメドレーを演奏。オリジナルナンバー「空に光る円」が披露され、深く壮大な世界を堪能した後は、メロディアスかつパーカッシヴな電子オルガンの演奏が印象的な「サハラ」「アンダルシア」、いきのもががりの大ヒット曲「ありがとう」とアップテンポなナンバーで客席を大いに盛り上げる。そして、ジェントルブリーズのお二人がステージを後にする間もなく促されたアンコールの「情熱大陸」でこの日のライブは幕を閉じた。

尺八と電子オルガン、その音の世界は心の奥深くまで響くバイブと、二人だけで演奏しているとは思えないほどのダイナミックさを兼ね備えた素晴らしいものだった。また、客席をなんともリラックスさせてくれるお二人のほのぼのとしたトークもジェントルブリーズのライブのもうひとつの魅力なのではないだろうか。ライブ終了後、ジェントルブリーズのお二人にこの日のステージの感想を伺ってみた。

岩間恒「今日はお客様もたくさん来てくれたし、とってもやりやすく、ほんとうに楽しかったです！」

前田栄子「今日はチャリティーライブということで子どもたちが募金箱を持って立ってくれたので嬉しかったです。あの震災以降、私もいくつものチャリティーライブをやらせていただきましたが、私にできることは音楽ぐらいしかないので、3月11日のことを忘れないでこれからもずっと音楽をやり続けていけたらいいなって思います。今、笛吹市にも被災地から避難してこられている方々がいらっしゃるようなので、私たちの音楽を聴いていただいて少しでも元気を取り戻していただけたら嬉しいです」

この日は無料ライブながら、東日本大震災被災者の方々にむけた支援金箱が用意され、集まったお金は支援金として笛吹市に全額寄託された。笛吹市スコレーセンターを管理する財団法人ふえふき文化・スポーツ振興財団では、この日以外にも被災地支援のためのチャリティー・コンサートとして、5月28日「フィーリングジャズオーケストラ　東日本大震災復興支援チャリティー・コンサート」（全額を公益財団法人山日YBS厚生文化事業団へ寄託）、6月11日「ソノリテ甲府吹奏楽団　東日本大震災復興支援チャリティー・コンサート in 笛吹市」（全額を日本赤十字社に寄託）、6月26日「～真心で打ち示す～　天野宣＆阿羅漢　体憾起縁公演」（全額を笛吹市に寄託）を行なってきた。今後も下記のチャリティーコンサートを開催する予定なので、ぜひ音楽の場を通して皆さんの被災者の方々をおもう気持ちを形にされてみてはいかがだろう。（取材：エイチ）

• 7月24日（日）　山梨交響楽団 サマーコンサート in ふえふき
• 9月3日（土）　池上英樹 超絶技巧のマリンバと打楽器
• 9月25日（日）　 アルレ弦楽四重奏団とその仲間たち