一宮浅間神社おみゆきさん(前編)

2010年4月15日午前7時30分。今日は朝から曇り空で、時折小雨がぱらついています。気温は冬に逆戻りしたかと思うような寒さです。指の先がかじかんでいます。それでも一宮町浅間神社の境内は、いつもと違う賑わいを見せていました。今日は山梨県でも随一の伝統の祭り『おみゆきさん』の日です。水防を祈願するお祭りで、御神輿には木花開耶姫命(このはなさくやひめのみこと)がお祭りされています。町内を練り歩いた後、信玄堤に向かいます。御神輿を担ぐ男衆は女の神様を恥ずかしがらせない為に、女性の着物を着て、顔に化粧を施しています。赤い長襦袢が目にも鮮やかなお祭りです。

本殿では、神主さん、氏子さん、お祭りの関係者等が集まり、厳かに神事を執り行っています。境内にはたくさんの露店が準備を始めています。ずらりと並んだ屋台を見るとお祭りの雰囲気そのもので、気持ちが高揚してきました。境内には艶やかな着物を着流し、顔に白粉を塗った男性たちが集まってきました。今時の若者らしい髪型の青年も、着物に鉢巻姿は少し古風に見えます。いなせな祭りの心意気は、前の代からしっかりと受け継いでいるようでした。

担ぎ手達はお払いをしてもらい、いよいよ御神輿が本殿から出ました。豪華な御神輿は相当な重量がありそうです。若者達の肩にずしりと収まりました。さあ、「そっこだい!」の掛け声に合わせてステップの始まりです。土手を踏み固める意味合いを持つこの足の動きは、軽やかで力強く、皆とても良く揃っています。御神輿が揺られて鈴の音が響きます。担ぎ手達の肩にはかなりの負担がきているよう…。でもみんな、男らしい表情で耐えています。かっこいい!

御神輿は神社の鳥居をくぐり、町内を回ります。今年の当番は、神沢区と土塚区です。二つのチームが交代で担ぎます。沿道には地元の人たちが御神輿が通るのを待っています。あちこちのお家で、担ぎ手たちはお酒と肴を振舞われます。こういった場では世代を超えて話が弾みます。伝統のお祭りが、地域の絆を深める素晴らしい機会になっているのですね。小さな子を抱きかかえた親御さんが御神輿の下を潜り抜けます。こうすると「子どもが健やかに育つ」と言われているそうです。

長い道のりでかなり疲労したはずです。それでも皆さん最後まで威勢良く、御神輿を担ぎました。この後は「神輿車」として飾り付けられたトラックに御神輿を載せて石和八幡宮へ向かいます。(取材:さっさ)

後編へ続く

 

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